園でできる感染症予防とは
寒い季節になると増える傾向にある「感染症」は、園生活とも密接な関係があり、感染予防に力を入れているところがほとんどです。
今回は、園でできる感染予防をわかりやすくお教えしていきます。
なぜ園では感染症が流行しやすい?
まず、なぜ保育園や幼稚園では感染症が流行りやすいのでしょうか。
いくつかの要因があるので、理解しておきましょう。
・接触しやすい集団生活
園生活の中では、遊びや午睡、食事などを集団で行い、子どもたち同士の距離が近く接触しやすい環境のため感染症が流行りやすいとされています。
飛沫感染や接触感染などで移る感染症は、園でとても流行りやすいです。
・子ども自身での感染対策が難しい
子どもたちに適切な手洗いうがいの指導をしつつも、年齢的に子ども自身が1人でしっかりと感染対策を行うことが難しいため、感染症が流行ります。
・乳児の接触感染の高さ
乳児は口に手を入れたり、おもちゃを舐めたり、床を這って移動することで、接触感染が起こりやすくなります。
生まれてから数ヶ月は母親から胎盤を通して受け取った免疫が備わっていますが、数ヶ月で免疫が減少し、感染症にかかりやすくなるという点もあります。
どのような経路で感染する?
園での感染症はどのような経路で感染するのか、知っておきましょう。
・飛沫感染
咳やくしゃみなどの飛沫を浴びることで感染することを「飛沫感染」と呼びます。
飛沫は1〜2mの範囲で飛び散るため、子ども同士の距離が近い園では飛沫感染が起こりやすいのです。
そのため、感染症が流行っている時期はマスクを着用し、飛沫から身を守ることで予防になります。
・空気感染
空気中に漂う病原体を吸い込んで感染することを「空気感染」といいます。
空気の流れによって感染するため、飛沫感染よりも範囲が広く、離れた場所にいても移る可能性があります。
定期的に換気を行い空気を入れ替えたり、感染者は別室に移動するなどの対策が必要です。
・接触感染
接触感染は、感染者に直接触れたことで移るものと、病原体が付着したドアノブやおもちゃに触れることで移る間接的な感染があります。
園ではいろいろな人がドアや棚などに触れ、おもちゃも共有しているため、接触感染が起こりやすいと言えます。
・経口感染
病原体を含んだ水や食べ物を口に含み、病原体が消化管に達して感染することを「経口感染」と言います。
園では、子どもたちの食事の取り扱いに注意が必要となります。
・血液媒介感染
血液を介して感染する「血液媒介感染」は、血液に含まれる病原体が、傷ついた皮膚や粘膜から体内に侵入すると感染します。
血液を介しての感染は園生活では多くありませんが、子どもが怪我をした時の手当は気をつける必要があります。
・蚊媒介感染
病原体をもった蚊に刺されて感染する「蚊媒介感染」は、日本脳炎ウイルスが主な病原体です。
蚊が発生しやすそうな場所に立ち入る際には、長袖や長ズボンを着用するように促し、蚊にさされないようにすることなどが予防策です。
園でできる感染症予防とは?
さまざまな感染経路を理解した上で、園でできる感染予防を積極的に行っていきましょう。
・手洗いうがいの介助と指導の徹底
手指を清潔に保つことで、感染症予防になります。
園生活の中で、常に手洗いうがいの声掛けをしていると思いますが、子ども1人では十分な手洗いが難しいですよね。
保育の中で正しい手洗いの方法をわかりやすく伝えたり、実際に保育士が見本を見せることで子どもたちも意識的に取り組めるようになりますよ。
・定期的な換気
空気感染を予防するために、保育室の定期的な換気は必要です。
慌ただしい保育の中で、つい換気するのを忘れがちになってしまいますが、園全体でこまめに換気を行うルールを設けると意識的に感染予防をすることができます。
・嘔吐物や排泄物の適切な処理
嘔吐物や排泄物には多くの病原体がいると考えられ、適切な処理を行うようにしましょう。
嘔吐は突然起きることが多いので、嘔吐物処理セットを作っておき、すぐに処理できるよう準備しておくことが大切です。
また、職員全体で嘔吐物や排泄物の適切な処理方法を共有し、感染を広げないための予防を行いましょう。
・園で起きている感染症を保護者に発信
園では1人の子が感染してしまうと、どんなに適切な対応をしていても、あっという間に広がる可能性があります。
そのため、移りやすい感染症が発生した場合は保護者に発信し、子どもの体調に気をつけてもらうようにしましょう。
まとめ
園でできる感染症予防についてお話ししてきました。
季節によっていろいろな感染症が流行りますが、集団生活をしている子どもたちはどうしても移りやすく感染症が広がってしまいます。
感染症予防をしっかりと行い、保育士も健康的な生活を心がけ免疫力を高めるなど、できる限りのことをしていきましょう。