運動会で起きた!感動エピソード
幼稚園やこども園では行事がたくさんありますね。
行事の一つ一つにねらいがあり、経験を重ねていくことで、子どもたちの成長を感じることができるのではないでしょうか。
今回はたくさんある行事の中でも大きなイベントである「運動会で起きた感動エピソード」を紹介していきたいと思います。
クラス対抗リレーで感動が…!
5歳児の担任をしていた時の出来事です。
筆者の勤める園では、運動会の最後に5歳児クラスで対抗リレーを行っており、「お兄ちゃんたちカッコイイ!!」と年下の子どもたちが憧れる競技でもあります。
ずっと憧れていたリレーをいざ、自分たちがやるということもあり、「絶対勝つぞ!」と張り切っていた子どもたち。
運動会本番、1位になることを目指して練習が始まりました。
運動会当日までに、バトンの渡し方や走る場所の確認など、練習することがたくさんあります。
5歳児クラスは3つありますが、リレーの練習をする度に順位が変わる程、接戦でした。
しかし、私のクラスでは、いつもあと一歩のところで1位になることができませんでした。
「もう走りたくない」子どもたちの気持ちがバラバラに
ある日、「次こそは1位を取るぞ!」とみんなで意気込んで挑んだ練習で、走ることが苦手なAくんが転んでしまい、クラスが最下位になってしまいました。
Aくんに大きな怪我はありませんでしたが、落ち込むAくんに向かって、クラスで一番足の速いKくんが「Aくんのせいで負けちゃったじゃん!」と言ったのです。
勝ちたい気持ちが強いKくんは、気持ちを抑えきれなかったのでしょう。
頭に血が上ったKくんはそのまま去ってしまいました。
その後、保育者が間に入り、Aくんが頑張って走って転んでしまったことを伝えて話をする機会を設けましたが、悔しさが勝り、会話をすることなく2人の間には大きな溝を感じるようになりました。
今回のことで「もう走りたくない」と自信をなくしてしまったAくん。
その後の練習は、バトンを落とすなどのミスが目立ち、子どもたちの気持ちがバラバラに…。
もう勝てないのではないかという諦めムードが漂っていました。
秘密の特訓が吉に
どうしたらまたクラスのみんなが一つになるか、毎日悩んでいました。
するとある日、Aくんが決意したかのように「先生、早く走れるようになりたい」と言ってくれたのです。
Aくんなりに「変わりたい!」という気持ちが芽生えていたようです。
「早く走れるようになりたい」
その言葉を受けて、私とAくんは「秘密の特訓」をするようになりました。
特訓といっても、自由遊びの時間に園庭を一緒に走ったり、手の振り方を教えたりしていました。
すると、Aくんの頑張りを見た子どもたちが「私も秘密の特訓したい!」と徐々に参加するようになったのです。
Kくんも、初めはみんなが走っている姿を遠くで見ているだけでしたが、次第に特訓に参加するようになり、Aくんにアドバイスをする姿も見られました。
Aくんの「頑張りたい!」という意欲がクラス全体に伝わったのでしょう。
その後は、Kくんを含むクラス全員が、走っている友だちを全力で応援し、ミスをしたときには励まし合うことが増えていきました。
あんなにバラバラだった気持ちが一つになることで、バトンの渡し方もスムーズになり、練習で1位を取るようになりました。
そして、クラスみんなが団結して臨んだ運動会当日。
出だしは好調でトップでバトンを渡していましたが、途中Aくん同様に転んでしまう子がいて結果1位にはなれませんでした。
しかし、あの時とは違うのは「転んだけど最後まで頑張ったじゃん!」と悔し涙を浮かべながらも、友だちを慰めるKくんの姿でした。
Kくんの成長を感じ、思わず保育者や保護者からも感動の涙が溢れました。
まとめ
勝ち負けにこだわりすぎてしまうと周りが見えなくなってしまいますが、クラスの友だちと息を合わせて心を通わせることで勝負に勝つことよりも大切なことを学べたのではないでしょうか。
運動会は子どもたちの成長を間近に感じることができるため、保育者にとっても素晴らしい経験となります。
私たち保育者も子どもの意欲に刺激を受けてより良い保育を考えていけるといいですね。