進級・入園シーズンの子どもが不安になる理由と保育者の関わり

春は進級や入園など、子どもにとって大きな環境の変化がある季節です。
新しいクラス、新しい先生、新しい友だち。
大人から見ると「一つ大きくなったね」「楽しみだね」と前向きに感じられることでも、子どもにとっては不安や戸惑いを感じやすい時期でもあります。
保育実習中に、泣いて登園する子や落ち着かない子を見て、「どうしてこんなに不安そうなんだろう?」と感じる保育学生さんもいるかもしれません。
そこで今回は、進級・入園シーズンに子どもが不安になりやすい理由と、そのときに保育者が大切にしたい関わりについてご紹介します。
環境の変化が子どもに与える影響
進級や入園は、子どもにとって生活環境が大きく変わる出来事です。
部屋が変わる、友だちが変わる、使用するロッカーが変わる、先生が変わるなど、一つひとつは小さな変化でも、子どもにとっては「今までと違うこと」が一気に重なります。
特に年齢が低い子どもほど、言葉で不安を表現することが難しく、泣く・甘える・落ち着かなくなるといった行動で気持ちを表すことがあります。
・「分からない」ことが不安につながる
子どもが不安になる大きな理由の一つは、「これから何が起こるのか分からない」という気持ちです。
新しいクラスでの一日の流れ、先生はどんな人なのか、どこで遊べるのか。
分からないことが多いと、安心して過ごすことが難しくなります。
保育実習中に、何度も同じ質問をする子や、先生のそばから離れない子がいるのは、この不安の表れでもあります。
・大人が思う以上に「人の変化」に敏感
子どもは、環境だけでなく「人の変化」にもとても敏感です。
担任の先生が変わることは、子どもにとって大きな出来事。
今まで安心して甘えられていた存在がいなくなることで、不安を感じるのは自然なことですよね。
進級したからといって、すぐに気持ちが切り替えられるわけではありません。
・不安な気持ちは行動に表れやすい
進級・入園の時期には、普段できていたことができなくなったり、些細なことで泣いたりする姿が見られることがあります。
これは「後戻り」ではなく、不安な気持ちを表しているサインです。
トイレや着替えで甘えが出ることもありますが、責める必要はありません。
「今は安心したい時期なんだ」と受け止めることが大切です。
保育者が大切にしたい進級・入園時の関わり方
・気持ちを受け止める
不安そうな子どもに対して、まず大切なのは気持ちを受け止めることです。
「泣かないで」「大丈夫だよ」と言いたくなる場面もありますが、まずは「不安だったね」「ドキドキするよね」と気持ちに寄り添う言葉をかけてみましょう。
自分の気持ちを受け止めてもらえることで、子どもは少しずつ安心していきます。
実習生がそっとそばにいるだけでも、心が落ち着くことがありますよ。
・見通しを伝える
「この後どうなるのか」を伝えることは、不安を和らげる大きな助けになります。
「このあとおやつを食べて、お外で遊ぶよ」
「絵本を読んだら、お帰りの準備をしようね」
このように、これからの流れを短く分かりやすく伝えることで、子どもは安心して過ごしやすくなります。
一度だけでなく、繰り返し伝えることも大切です。
・安心できる存在になる
進級・入園の時期には、「この人がいれば大丈夫」と思える存在が必要です。
担任の先生だけでなく、実習生の存在が安心につながることもあります。
無理に距離を縮めようとせず、名前を呼ぶ、笑顔で挨拶をする、一緒に遊ぶなど、小さな関わりを積み重ねていくことが信頼関係につながります。
・無理に慣れさせようとしない
「みんなできてるよ」「もうお兄さんだから」といった言葉は、子どもにプレッシャーを与えてしまうことがあります。
慣れるスピードは、一人ひとり違います。
周りと比べず、その子のペースを大切にすることが、結果的に安心して園生活を送ることにつながります。
実習生として意識したい視点
保育学生のみなさんは、「うまく関われたか」だけでなく、「子どもがどんな気持ちで過ごしているのか」に目を向けてみましょう。
泣いている理由、甘えてくる背景、少し落ち着いた瞬間など、子どもの小さな変化に気づくことが大きな学びにつながります。
実習記録を書くときには、子どもの様子だけでなく、そのとき自分がどんな関わりをしたのかも一緒に書き留めてみてください。
まとめ
進級・入園シーズンに子どもが不安になるのは、とても自然なことです。
環境や人の変化の中で、子どもたちは一生懸命新しい生活に適応しようとしています。
保育者に求められるのは、不安をなくすことではなく、不安な気持ちに寄り添いながら安心できる時間を積み重ねていくことです。
保育学生のみなさんも、子どもたちの姿を通して「寄り添う保育」の大切さを感じながら、春の実習の時間を大切に過ごしてみてくださいね。



