子どもの安全を守る!保育現場で意識したい事故予防のポイント

保育実習に行くと、子どもたちが元気いっぱい遊ぶ姿を目にしますよね。
走る、登る、跳ぶ、ケンカする、時には転ぶなど、子どもは日々の生活や遊びを通してたくさんの経験を積み重ねて成長していきます。
そのなかで保育者には、「子どもの安全を守る」という重要な役割があります。
どんなに楽しい遊びの時間でも、ちょっとした油断や見落としから事故につながることがあるのです。
実習中「先生たちの周りを見る目ってすごい!」「気づいたらいつのまにか危ない場面を防いでいた…」と感じた学生さんもいるのではないでしょうか。
事故を完全にゼロにすることは難しいですが、予防の視点を持つことで、事故の可能性を大きく減らすことができます。
そこで今回は、保育現場で大切にしたい事故予防のポイントを保育学生さん向けにわかりやすくお伝えしていきます。
事故予防の基本は「気づく力」
保育の中で事故を防ぐために、最も大切なのが「子どもの動きの先を予測する力」です。
たとえば、
・走っている子どもが曲がり角で誰かとぶつかるかもしれない
・高いところに登ろうとしている子が、足を滑らせるかもしれない
・集団遊びが白熱すると、トラブルが起こるかもしれない
このような小さな変化やサインに気づくことで、危険につながる前に声をかけたり、環境を整えたりすることができます。
なので、実習中は「子どもたちを広く見る」「動きの予測を意識する」という視点を持つことが非常に大切です。
慣れないうちは難しく感じるかもしれませんが、子どもの遊びをよく観察し「この後どうなるかな?」と考える習慣をつけることで、少しずつ見通す力が身についていきます。
遊びの環境を整えることも事故予防になる
事故は、子どもの行動だけが原因で起こるわけではありません。
環境が原因となって起こる事故も少なくないため、遊びの前に環境を整えておくことは、とても大切なポイントです。
▼室内で気をつけたいこと
・床に落ちているおもちゃや荷物をあらかじめ片づけておく
・椅子や机の角がぶつかりやすい位置にないか確認する
・足元が滑りやすい場所を把握しておく
・道具を使う活動では、十分なスペースを確保する
▼戸外で気をつけたいこと
・遊具の状態を確認する(濡れてないか、壊れていないか)
・砂場や段差など、つまずきやすい場所をチェックする
・走る場所と、座って遊ぶ場所の動線を分ける
・園庭の中で、見通しの悪い場所に注意する
環境を整えることは、「安全に遊べる空間をつくるための保育者の大切な準備」でもあります。
実習中に、先生が遊びの前にさっと片づけたり、道具の配置を少し変えたりする場面を見たことはありませんか?
その一つひとつの行動が、事故を未然に防ぐことにつながっているのです。
声かけも大切な安全対策
子ども自身が危険に気づけるようにする声かけも、事故予防に欠かせません。
▼伝えるときのポイント
・禁止するだけでなく、「なぜダメなのか」という理由を伝える
・「危ないからダメ!」より「走るとぶつかるかもしれないよ。ここは歩こうね」と伝える方が理解しやすい
・「どう行動すればいいのか」を、具体的な言葉で伝える
・「押さない!」ではなく「順番を守ろうね」など肯定的な言葉に言い換える
安全に必要なルールは、子ども自身が理解し、守ろうと思える形で伝えていくことが大切です。
声かけの工夫は、保育者の力量の一つでもあります。
実習中に先生たちの言葉の選び方をよく聞き、「いいな」と思った声かけは、ぜひ真似してみてください。
その積み重ねが、実習での学びをさらに深めてくれます。
子ども一人ひとりの姿に合わせた配慮も必要
事故予防を考えるうえで、一人ひとりの子どもの特性を知ることも、とても大切なポイントです。
たとえば…
・夢中になると、周りが見えなくなりやすい子
・バランスを崩しやすく、転びやすい子
・気持ちが高ぶりやすく、興奮しやすい子
・行動がゆっくりで、集団の動きについていくのが大変な子
同じ遊びの場面でも、子どもによって必要な支援や声かけは異なります。
実習中は、「この子はどんな遊び方をするかな?」「どんな場面で危なくなりやすいかな?」という視点で見ることで、事故を防ぐための“見る力”や“気づく力”が少しずつ育っていきます。
事故が起きたときの対応も大切な学び
どれだけ注意していても、事故が起こってしまうことはあります。
そんなときに何より大切なのは、落ち着いて対応することです。
▼事故が起きたときの基本の流れ
・子どもの状態を確認する(意識があるか、出血や痛みはないか)
・安全な場所へ移動する
・担任や近くの職員へすぐに報告する
・必要な対応を行う(冷やす、止血、医療機関へ連絡するなど)
・保護者へ状況を丁寧に説明する
学生の立場では、「自分で判断しようとせず、すぐに先生に報告すること」が最も重要です。
事故が目の前で起きると、どうしても慌ててしまいますが、「〇〇ちゃんが転びました!」と伝えるだけでも十分です。
その後は、先生方の対応をそばで見て学ぶことが、安全管理への理解を深める大切な経験になります。
▼実習でできる安全への意識づくり
・子どもを広く見渡す習慣をつける
・危険に気づいたら小さなことでも先生に伝える
・活動前の環境チェックを積極的に手伝う
・子どもへの声かけを意識して行う
・実習ノートに「ヒヤリとした場面」や「予防できたこと」を記録する
こうした一つひとつの小さな行動の積み重ねが、保育者としての安全管理につながっていきます。
【まとめ】
今回は、保育現場で意識したい事故予防のポイントについてお話ししてきました。
子どもの安全を守ることは、保育者にとって最も大切な役割のひとつです。
事故を完全にゼロにすることは難しいですが、予測する力・環境を整える力・声かけの工夫を意識することで、事故の可能性を大きく減らすことができます。
実習では、先生たちの立ち位置や動き、声かけをよく観察し、「なぜこの対応をしたのだろう?」と一歩踏み込んで考えてみてください。
その気づき一つひとつが、将来保育者として働くときの大きな力になります。



