発達の遅れかも?と気づいた時の対応とは?
子どもたちの育ちには一人ひとり個性があり、発達のスピードにも大きな幅があります。
同じ年齢であっても、言葉が早い子もいれば、ゆっくりな子もいます。
体の動きも同じで、活発な子もいれば、少しずつできるようになる子もいます。
こうした違いは自然なものであり、必ずしも「遅れている」ことを意味するわけではありません。
しかし、保育の現場や家庭で「他の子よりも言葉が少ない」「集団に入るのを嫌がる」「身の回りのことがなかなかできない」などの様子が続くと、発達の遅れや特性があるのではないかと心配になることもあります。
今回は保育者が子どもに対して「発達の遅れがあるかも?」と気づいた時の対応方法について分かりやすくお教えしていきます!
子どもの発達の多様性を理解する
まず前提として、発達には「標準的な目安」がありますが、必ずしもその通りに進むわけではありません。
例えば、ことばの発達は2歳前後で急速に伸びる子もいれば、3歳を過ぎてから語彙が増える子もいます。
運動面でも、歩き始めが1歳前の子もいれば1歳半を過ぎてからという子もいます。
・保育者は「年齢に応じた発達の目安」を理解しておく
保育者は発達面や運動面の「標準的な発達目安」をしっかり理解しておくことが大切です。
その知識や経験したことを受けて、発達の凸凹が大きかったり、集団生活に支障が出ていたりする場合には、単なる個人差ではなく、専門的な支援や環境調整が必要なケースもあります。
そのため「気づき」を大切にし、早い段階で適切な対応につなげることが重要です。
・発達が気になる時、保育者は「問題」として捉えない
子どもの様子から「発達が気になるかも」と感じた時「ここができなくて困るな」「こういう行動は問題かも」と捉えず、「その子の育ちを支えるためにどうすればよいか」という前向きな視点を持つことが大切です。
保護者と共に子どもの強みを見つけ、その子に合った関わり方を考える姿勢は、子どもに安心感を与え、自己肯定感の育ちにつながります。
・保育者自身が対応に迷ったら?
子どもの発達について遅れを感じたり違和感を覚えたとき、保育者自身が不安や迷いを抱えることもあります。
その場合には、園内でのカンファレンスや先輩保育者との共有、研修への参加などを通して、支援の在り方を一人で抱え込まないようにすることが大切です。
「クラス担任だから自分でなんとかしなきゃ」と一人で子どもを抱え込むのではなく、園全体で成長を見守る姿勢が必要です。
「発達が遅れてるかも?」と気づいたとき保育者としての対応方法は?
・観察を丁寧に行う
子どもの様子を日常の遊びや生活の中で細かく観察し、記録に残します。
発語の有無だけでなく、表情、しぐさ、他児との関わり方、遊びの広がり方など、多角的に捉えることが大切です。
日常的に観察をしていると、その子の行動パターンや、どういったときに困難を感じているのかなどが見えてくるので、ちょっとしたことでも記録しておくと良いでしょう。
・家庭との連携
子どもの発達を一番長く見守っているのは家族です。
園での姿と家庭での姿には違いがあるため、担任や保護者が互いに情報を共有し合うことが不可欠です。
その際には「遅れています」と断定せず、「園ではこういう様子が見られますが、おうちではどうですか?」と伝え、保護者が安心して話せる雰囲気をつくります。
保育者側が園生活での詳しい様子を伝えることで家庭で起きていることと共通点が見つかったり、実は家でも困り事があったという場合もあるので、まとまった時間を作り保護者と話し合いができるようにしましょう。
・環境の工夫と支援
集団の中で戸惑いがある子どもには、環境を調整することで過ごしやすくなることがあります。
例えば、言葉が少ない子には視覚的な支援を取り入れる、落ち着きにくい子には安心できるスペースを確保するなどです。
こうした工夫を通して、子どもが「できた」という経験を積み重ねられるようにします。
発達や運動面で遅れが見られる子は、他者と比べて上手くできないことに気づき自己肯定感が低くなってしまう傾向にあります。
スモールステップでちょっとした成功体験をたくさん積み重ねていけるよう支援しましょう。
・専門機関との連携
保育現場での対応だけでは難しい場合、地域の保健センターや発達支援センター、小児科など専門機関への相談が必要になることもあります。
保育者はその橋渡し役として、保護者に相談先を紹介したり、受診や相談のきっかけをつくったりします。
重要なのは、保護者が「発達に課題がある」と告げられることで不安や孤立を深めないよう、丁寧な言葉がけや共感を忘れないことです。
まとめ
子どもの発達が遅れているかも?と気づいた時の対応方法についてお話ししてきました。
子どもの発達には大きな個人差があり、「遅れているかも」と感じることは決して珍しいことではありません。
大切なのは、保育者が早期に気づき、丁寧に観察・記録を行い、家庭や専門機関と連携しながら子どもを支えていくことです。
その際、子どもの「できない部分」に焦点を当てるのではなく、「どんな力が育ってきているか」「どうすれば生活しやすくなるか」に目を向けることが重要です。
一人ひとりの育ちに寄り添い、その子らしい成長を支えていくことができると良いですね。